続いていく厄災【その1】
昔からこの村には奇妙な伝承があった。村の中でも特に古い家系に属する者たちが、親の記憶を引き継ぐというものだ。今となってはそれが本当なのかどうか、誰もはっきりとは分からない。だが、村の中には「この家系だけが特別な何かを知っている」と囁く者も少なくなかった。
主人公はアキラという若者だった。アキラの家系は代々、何らかの記憶を引き継いでいるとされていたが、彼自身はそれを全く信じていなかった。父や祖父から聞いた話も単なる昔話程度にしか考えていなかった。彼はむしろ、都会に出て普通の生活を送りたいとさえ思っていた。
しかし、アキラが20歳を迎えた頃、奇妙な夢を見るようになる。夢の中では、見知らぬ場所で何かに追われている。何か得体の知れない存在が、遠くから彼を見ているような視線を感じるのだ。最初はただの悪夢だと思っていたが、夢が続くにつれてその感覚はますます現実味を帯びてきた。
ある日、アキラの祖父が亡くなった。葬儀の後、遺品を整理していると、古びた日記が見つかった。その中には「湖の主」「厄災」「役目」といった不吉な言葉が繰り返し記されていた。そして最後のページにはこう書かれていた。
「この村に降りかかる厄災を止めるのは、お前しかいない。」
アキラは嫌な予感がしたが、家族には何も告げなかった。だが、その日から村の様子が変わり始める。近隣の村で動物が次々と変死する事件が発生し、村人たちが不安を口にするようになった。
アキラは、夢の中で見た場所が現実にあることに気づく。湖のそばにある古びた神社だ。子供の頃に一度だけ訪れたことがあり、その場所がなぜか強く彼の心に刻まれていた。彼は祖父の日記を手がかりに、その神社に向かうことを決意する。
ある晩、アキラは一人で湖へと向かった。神社に近づくにつれて、空気が変わっていくのを感じた。重苦しい圧迫感が彼を襲い、冷や汗が背中を伝った。神社にたどり着くと、そこには錆びついた鳥居と崩れかけた本殿があった。そして、本殿の奥には謎めいた石碑が立っていた。
石碑には何か古代の文字が刻まれていたが、読み取ることはできなかった。突然、冷たい風が吹き抜け、耳元でかすかな声が聞こえた。
「この場所から去れ。そうしなければ、全てが終わる。」
アキラは恐怖に駆られ、神社から逃げ出した。振り返ると、湖のほとりに人影が立っているのが見えた。それが誰なのか分からなかったが、彼はただ走り続けた。
その晩、アキラは村に戻ると、村中がざわめいていた。誰もが何か不吉な予感を感じているようだった。そして翌朝、村で最初の犠牲者が出た。人々は口々に囁いた。
「厄災が始まったんだ。」















