山奥の別荘
俺の名前はハマナカ。昔、叔父の別荘に遊びに行ったときの話だ。あれはもう忘れたくても忘れられない出来事。叔父の別荘は山の中にあって、真冬の寒い時期、周りにはほとんど誰もいない。家族も友人もいない静かな場所で、俺と叔父の二人きりだった。
その夜、俺たちはリビングで酒を飲みながら怖い話で盛り上がっていた。どんな話が出たか覚えてないけど、ふと叔父が真剣な顔をしてポツリと言ったんだ。
「おい、ハマナカ。あの山には絶対入るなよ。」
俺はその瞬間、心臓がドキッとした。いつも冗談ばかり言う叔父が、その時ばかりは真剣だったからだ。「なんで?」と聞くと、叔父は少し黙ってから答えた。
「その山は昔から地元の人でも入らないんだ。何があるかは知らないが、ある別荘の社長が、あそこで首を吊ったんだよ。」
「社長が自殺…?」
そう尋ねると、叔父はうなずいて続けた。
「そうだ。それ以来、誰もあの山には近づかない。地元の人もほとんどがその話を知ってるんだが、話したがらない。まるで何かが隠されているようにな。」
怖い話が終わったあと、俺たちは朝の5時近くまでずっと遊んでた。眠気に襲われた俺は昼頃まで爆睡し、喉が渇いて目が覚めた。時計を見るとちょうど12時。飲み物を取ろうとリビングに行き、ベランダに出て景色を眺めた。
ふと部屋にあった高性能の望遠鏡に気づいた。これ、結構良いやつだよな。子供の頃から何となく好奇心を抑えられない俺は、その望遠鏡を使って周囲を覗いてみたんだ。
最初は景色しか見えなかった。山々が広がり、木々が風に揺れている。しかし、その山を覗いた瞬間、何かがおかしいことに気付いた。木々の間に異様な形のものがあった。
最初は動物かと思った。だが、じっと見つめていると、どう見ても動物じゃない。それは…人間の形をしていた。だけど、普通じゃなかったんだ。
そいつは異様に背が高かった。5メートル、いや、それ以上あったかもしれない。胴体は不自然に細長く、頭が異様に大きい。そして、そいつは動いていた。
俺の体は一気に固まった。望遠鏡越しにその「もの」を見つめていたが、そいつもこっちを見ていた。そして…動き始めた。ゆっくりとこっちに向かって近づいてきた。
心臓がドクンドクンと脈打ち、呼吸が荒くなる。こんなの、冗談じゃない。望遠鏡を放り投げ、部屋に飛び込んだ。だが、窓からでもその「もの」が近づいているのがわかった。
俺は叔父にすぐに話した。「あの山だ!あれ、何かいる!」と叫んだが、叔父は冷静だった。
「やっぱり見たか…。だから言っただろ。あの山には入るなって。」
その後、叔父は俺に何も言わなかったが、俺が見た「もの」について詳しく語ることは一切なかった。俺たちはその日を境に、あの別荘から早々に引き上げた。
帰りの車の中、俺は後ろの座席に座りながら、まだ心臓の鼓動が落ち着かないのを感じていた。あれが何だったのか、今でも分からない。あの山には、何かがいる。何か、普通じゃない「もの」が…。
















