お供えの団子
昔々、とある村に小さな寺がありました。その寺には、修行中の小坊主が数人住んでおり、年配の住職が彼らの指導をしていました。小坊主たちはまだ子供で、修行といえども遊び半分、いたずら心も多かったのです。
その寺では、毎月特定の日に村人たちが仏壇にお供え物を持ってきて、団子や果物をお供えする習慣がありました。ある日、修行に飽きた小坊主の一人、名を仁助(にすけ)と言いましたが、ふとお供え物を見て思いました。
仁助:「うまそうだなあ、ちょっとくらい食べてもバレないよね」
村人たちがお参りを終えて帰ったあと、仁助は仏壇の前に行き、そっとお供えの団子に手を伸ばしました。あっという間に一つ、二つ、団子を口に放り込み、その甘さに思わず笑顔がこぼれました。
仁助:「やっぱり、お供えの団子は格別だなぁ」
それからというもの、仁助はお供えの団子を食べるのが習慣になってしまいました。住職には隠れていましたが、他の小坊主たちも薄々気づいていたのです。
小坊主1:「また食べてるよ、仁助。お供えのものを食べるなんて罰が当たるぞ」
仁助:「大丈夫さ、バレなきゃ平気だよ」
ある日、村人が仏壇に新しい団子を供えていきました。しかし、今回の団子にはお札が貼られており、何やら不吉な気配が漂っていました。住職も普段よりも厳しい表情をしており、その団子には特別な意味があることを示唆していました。
住職:「この団子は決して手を出してはならん。特別な理由があってお供えしているのじゃ。分かったな?」
住職の厳しい言葉に、小坊主たちは身を引き締めましたが、仁助はその団子を見て、さらに食べたくなってしまいました。
仁助:「なんでこんな美味しそうな団子をお供えしておくだけなんだよ。誰も食べないなら、俺が食べちゃえばいいじゃないか」
その夜、他の小坊主たちが寝静まると、仁助はひっそりと仏壇に向かい、お札の貼られた団子を手に取りました。いつもと違う不思議な冷たさを感じましたが、仁助は気にせず団子を口にしました。
ところが、一口食べた瞬間、仁助の体に異変が起こりました。体が急に重くなり、頭がぼうっとしてきたのです。慌ててもう一度団子を吐き出そうとしましたが、口が勝手に動き、次々と団子を食べてしまいました。
仁助:「な、なんだこれ……体が勝手に……」
恐怖に包まれながらも、仁助は団子を食べ続け、最後の一つを食べ終えた瞬間、バタンと倒れこみました。次の朝、小坊主たちが仁助を見つけたとき、彼は体が硬直し、口元には食べかけの団子の残りがこびりついていました。
住職は事の重大さを知り、深いため息をつきながらこう言いました。
住職:「あの団子は、災いを封じるためのお供えだったのじゃ。それを食べるとは……仁助よ、まだまだ修行が足りなんだ」
仁助の体はすぐに村の者たちによって清められましたが、その後、彼の魂は寺の周りをさまよい続け、時折、小坊主たちが夜遅くまで遊んでいると、仁助の声がどこからともなく聞こえてきたと言います。
「……もう一つ……団子を……」
それ以来、寺の小坊主たちは決してお供え物に手を出すことなく、真面目に修行に励むようになったそうです。
















