FPSゲームで魂を撃ち抜かれた話
俺には一人、FPSゲームに異常なほどハマっている友人がいる。名前はK。学校から帰るとすぐにPCを起動して、夜遅くまで銃を撃ちまくっている。もちろんゲーム内でだが。
俺も何度かKと一緒にプレイしたことがある。Kは尋常じゃないくらい上手かった。反射神経がすごいのか、敵を見つけると一瞬で撃ち抜く。頭を撃つ「ヘッドショット」なんて当たり前だ。
「お前、ちょっとやりすぎじゃね?」
俺は冗談混じりにKに言ったことがある。
「まあな、でも楽しいんだよ。戦場にいるみたいな感じになるんだよな」
Kは笑いながら言った。
それからしばらくして、Kからの連絡が途絶えた。学校でもほとんど見かけなくなったし、SNSでも音沙汰なし。何かあったのかと心配になって、ある日Kの家に様子を見に行くことにした。
Kの家に着くと、玄関は開いていた。Kの母さんが出迎えてくれて、俺を部屋に案内してくれた。Kは部屋の中でPCの前に座っていた。相変わらずゲームをしているのだろうと思ったが、違和感があった。
「よぉ、久しぶりだな。最近学校来てないじゃん、大丈夫か?」
Kは返事をしない。ただ画面をじっと見つめていた。
「おい、K?聞こえてる?」
俺が近づいても、Kは動かない。まるで何かに取り憑かれているみたいに。モニターを覗き込むと、KはいつものFPSゲームをしていた。でも、何かが違う。画面には撃ち抜かれたK自身のキャラが映っていたんだ。
その瞬間、Kが震えだした。まるで何かが体から抜けていくかのように。
「撃たれた……俺、撃たれたんだ……」
Kがか細い声で呟いた。
俺は冗談かと思った。でも、その目はどこか虚ろで、まるで魂が抜けかけているような感じだった。そしてその瞬間、部屋が異様に冷たくなった。Kは自分の胸を押さえ、苦しそうに息を荒げ始めた。
「ゲームの中で撃たれたはずなのに……なんで……本当に……抜けていく……」
Kはそう言って、急に倒れ込んだ。
慌ててKに駆け寄ったが、彼はピクリとも動かなかった。まるで意識がどこか遠くに飛んでいったかのように。Kの目は閉じていたが、その表情は何かに怯えているようだった。
その後、Kは病院に運ばれた。幸い、命に別状はなかったが、彼はそれ以来、一言も話さなくなった。そして、あのFPSゲームにも二度と手を出すことはなくなった。
「魂が抜かれた……」
その言葉が今でも俺の頭から離れない。ゲームの中で撃たれたはずなのに、本当に命を狙われることがあるなんて思いもしなかった。
あの時、Kは何を見て、何を感じたのだろうか。