理科の先生が…
俺たちの中学生活は、基本的に毎日が同じようなルーチンだった。仲の良いクラスメイト5人でバカなことをしながら、授業が終わるのを待つ日々。メンバーは俺、ケン、ユウジ、マサト、そしてリョウ。俺たちはいつもつるんでいて、休み時間に何かしらの「事件」を探しては、クラスの探偵ごっこをしていた。
もちろん、ほとんどの「事件」と言っても、誰かが教科書をなくしたとか、給食のデザートが消えたとか、そんな小さなことだったけど、ある日、大きな事件が起きた。
その日はいつものように、ホームルームが終わった後、ケンが小声で言った。
「なあ、あの理科のミズノ先生って、なんかおかしくね?」
「なんだよ急に」と俺は笑ったが、ケンの顔は真剣だった。
「いやさ、昨日、夜遅くに学校の前を通ったんだけど、理科室の明かりがついてたんだよ。こんな時間に何してんだろって思ってさ、近くまで行ってみたんだ。でも、教室の中には誰もいなくて、ただ明かりがついてたんだよ」
ミズノ先生は、ちょっと近寄りがたい人物だった。普段の授業も無駄話は一切せず、淡々と進めるタイプ。理科に関しては、やたらと知識が豊富で、実験の準備も完璧。しかし、その反面、クラスのみんなが彼を苦手に思っていた。というのも、彼は笑顔をほとんど見せないし、いつも何かに集中しているような表情をしていたからだ。
「確かに、ミズノ先生って変わってるよな」とリョウが同調する。「この前も、理科室にいくつか大きな箱を持ち込んでたけど、あれって何なんだろう?」
「それ、俺も見た!」とマサトが加わる。「あの箱、やたら重そうだったのに、何か見せてくれなかったし、ただ『気にするな』って言われたんだよな」
俺たちは気になって、少し調べてみることにした。まず、他の先生たちについて軽く情報を集めた。体育のイシダ先生は、ただの筋肉バカで、授業中も「腕立て伏せ100回!」が口癖。国語のタケダ先生は、毎朝の挨拶が無駄にハイテンションで、いつも生徒を笑わせていた。一方、音楽のヒラタ先生は、常にピアノの前にいて、誰かが歌を間違えると「音感が足りない!」と厳しく叱る。どれも面白い先生たちだったが、特に怪しいところはない。
しかし、理科のミズノ先生だけは別格だった。俺たち5人の間で、何かが引っかかっていた。
それから数日後、俺たちは意を決して、放課後の理科室を探ることにした。窓からこっそり覗いてみると、ミズノ先生が一人で何かの装置を組み立てているのが見えた。銀色の円筒形の物体がいくつも並んでいて、まるで映画の中でしか見ないような爆弾みたいだった。
「これ…本物の爆弾か?」とユウジが囁いた。
「おい、待てよ、まさか…」と俺も声をひそめたが、心臓がバクバクしていた。
その瞬間、理科室のドアが開いて、ミズノ先生が外に出てきた。俺たちは一瞬で身を隠したが、先生の顔には明らかに何かを企んでいるような陰気な表情があった。
翌日、俺たちは早速調べた内容をクラスメイトに話した。誰も信じないかと思ったが、次第に「本当に理科室で怪しいことが行われているかもしれない」という噂が広がっていった。先生に聞くのも怖かったが、学校を爆破しようとしているなんて話、放っておくわけにはいかない。
俺たちは勇気を出して、校長に報告することにした。しかし、校長は「そんなバカな話があるか」と笑って一蹴された。
だが、俺たちが次に見たものがすべてを変えた。翌日、ニュースで「近隣の学校で不審な爆発物が発見された」と報じられ、ミズノ先生が突然学校を辞めることになったのだ。
その後、噂によると、ミズノ先生はどこかの研究機関に属していて、学校を実験場にしようとしていたらしい。俺たち5人は、その事実を知ったとき、あのときの決断が間違っていなかったと、胸を撫で下ろしたのだった。