川からの贈り物
私は小さな村でずっと暮らしてきた。この歳になると、特に大きな変化もなく、静かに日々が過ぎていくものだ。だけど、ここ最近、妙なことが起きていた。
それは毎朝、私が家の近くを流れる川に行ったときのことだった。川は普段は穏やかで、釣りをする村人や遊ぶ子どもたちで賑わっていた場所だ。でも、ある日、川の浅瀬に何かが引っかかっているのを見つけた。よく見ると、それは人の遺体だった。
驚いた私はすぐに村の若者たちを呼び、警察にも連絡した。大騒ぎになったが、警察は「事故か事件かはわからない」と言っただけで、特にその後の説明もなかった。
次の日も、私はいつものように川を見に行った。するとまた、違う遺体が流れ着いていたんだ。これにはさすがにおかしいと思った。どうして、こんなに毎日遺体が流れてくるのか?
その日も警察がやってきて、遺体を引き上げたが、特に何も説明はなかった。翌日もまた同じ光景が繰り返された。
「これはただの偶然ではない…」
そう思い始めた私は、村の昔からの言い伝えを思い出した。村の川は「魂の川」と呼ばれ、昔から魂が集まる場所だと言われていた。特に大雨の後には、何か良くないことが起こると。私はまさにその言い伝えが現実になっているのではないかと感じ始めた。
数日が過ぎても、毎朝川には遺体が流れてきた。村人たちは恐れ、川に近づかなくなった。私は「こんなことは一体どうしてなのか」と毎日考え込んでいた。
ある夜、私は不気味な夢を見た。夢の中で、川のほとりにたたずむ古い木の下に座っていると、誰かが私の名を呼ぶ声がした。振り向くと、そこには水に濡れた何人もの人が立っていて、皆こちらをじっと見つめていた。
「お前が選ばれたのだ…」という声が頭の中で響いた。
次の日、私は恐る恐るまた川を見に行った。川辺にはやはり遺体が流れ着いていた。だがその日は違っていた。遺体は私の昔の友人、今は亡き隣人だった。彼女が静かに私を見上げている姿が、はっきりと見えた。
「どうして…?」
私はその場で声を上げたが、返事はなかった。ただ、彼女は微かに微笑んだように見えた。そしてその日以来、川から遺体が流れてくることはなくなった。