消えた村の灯
それは数年前のことだった。友人と一緒にある村を訪れた時の話だ。村は山間にあり、まるで時が止まったかのような静かな場所だった。古い街並みと、どこか懐かしい雰囲気が心に残り、もう一度行ってみたいと思っていた。
その後、ふとした時に、その村のことを思い出し、再び足を運ぶことにした。連休だったし、一人でドライブするのも悪くない。村までの道は覚えていたので、ナビも見ずに車を走らせた。
だが、村に近づくにつれ、違和感を覚えた。まず、道沿いにあるはずの看板が変わっていた。「この先○○村」という看板が「消灯」という奇妙な文字に変わっていたのだ。しかも、何かが覆い隠されているような形跡も見える。戸惑いながらも、好奇心に駆られ、そのまま車を進めることにした。
車を走らせること数分。見覚えのある場所にたどり着いたが、そこにはかつての賑やかな村の姿はなかった。村は完全に廃墟と化しており、建物はボロボロで、草木が建物を侵食していた。村には何もないように見えた。
「おかしいな、こんなはずじゃなかったのに…」俺は車を降り、廃墟をゆっくりと見回していた。
その時だった。遠くから誰かが歩いてくるのが見えた。いや、"何か"が近づいてくると言ったほうが正確かもしれない。人の形をしているが、背が異常に高く、歩き方も奇妙だった。手足は細長く、まるで糸で操られているようなぎこちない動き。
「なんだ、あれ…」俺はその場に立ち尽くした。
さらに驚くべきことに、その存在は一人ではなかった。周囲の茂みや建物の陰から、次々と同じような姿のものが現れ始めた。どれも異様に長い手足を持ち、揃ったかのようにゆっくりとこちらに向かってくる。
「やばい…」本能的に危険を感じた俺は、車に飛び乗り、エンジンをかけた。
だが、その時、視界の隅に奇妙な光景が映った。村の奥に、一つだけ明かりが灯っている家があったのだ。完全に廃墟と化した村の中で、その家だけが生きているかのようにぽつんと光っていた。
「な、なんだ…?」混乱しながらも、俺は車をバックさせ、村を後にしようとした。だが、バックミラーに映ったのは、すでにすぐそこまで迫っている異様な集団だった。どれも人間の形をしていながら、人間ではないことは一目で分かった。
無我夢中で車をバックさせ、どうにか村を離れることができた。国道に戻ったとき、背筋に冷たい汗が流れていた。
その後、家に戻ってからナビを確認したが、確かにあの村は存在していた。
あの灯りが灯った家、そして村を徘徊していた異形の存在たち。俺はいつかもう一回あの灯りが灯った家の謎を解きに行こうと思う。
















