帰り道の自転車の子供

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その日は、塾の帰りが遅くなった。普段は夕方の明るいうちに帰れるのに、その日は特別なテスト対策があって、すっかり暗くなってしまった。自転車で通っている私は、早く帰ろうと少し急ぎ気味でペダルを漕いでいた。住宅街を抜ける細い道、街灯がぽつんぽつんとあるだけで、暗い影がいくつも交差している。

風が少し冷たく、後ろから誰かの視線を感じた。振り返ると、そこには一人の子供がいた。自転車に乗って、私を追いかけてきているようだ。小学校低学年くらいの男の子で、白いシャツに半ズボンという見慣れない姿だった。こんな遅い時間に、子供が一人で自転車に乗っているのはおかしい。しかも、その顔が、なんだか妙に無表情だった。

気味が悪くなった私は、スピードを上げた。すると、後ろからついてくる自転車の音も速くなった。追いかけてきている。なんで?誰かのいたずらだろうか?

一旦、狭い路地に入ってみた。少し迷路のような道を進んで、どうにか巻いたつもりで大通りに出た。ふぅ、と息をついて振り返ると、もうその子供の姿は見えなかった。

安心してまた自転車を漕ぎ始めた。
少し先には、偶然同じ学校に通う友達、沙織の姿があった。「沙織!こんな時間にどうしたの?」と声をかけると、彼女も私に気づいて笑顔を見せてくれた。ふと振り返ると、またあの子供がいた。今度はさらに近く、すぐ後ろに迫っていた。そんなスピードでついてこれるはずが…。

沙織と一緒に帰ろうと、急いで近寄る様に自転車を漕ぐ。

背筋が凍る思いで、振り返るとその子供は消えていた。

「何かあったの?」と沙織が心配そうに聞いてきた。私はただ「ううん、何でもない…」と答えたが、心臓はドキドキしていた。

それ以来、その帰り道を通るたびに、誰かが後ろからついてきているような気配を感じる。しかし、振り返る勇気はもうなかった。