ドライバーおばさん

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俺の家の近所に、ちょっと変わったおばさんが住んでいた。60代くらいだろうか、いつも愛想よく、通りすがりに挨拶をしてくれる。見た目も、どこにでもいるような優しいおばさんで、サザエさんに出てくるフネさんみたいに、いつも割烹着を着ていた。

ただ、少し変わっていたのは、いつ見ても彼女が何かを作っていることだった。庭先でドライバーを手に、本棚のようなものを組み立てているのを何度も見かけた。最初は流行りのDIYかと思った。最近、どこでも自分で家具を作る人が増えているから、「このおばさんもその一人なんだな」と特に気に留めていなかった。

しかし、だんだんと彼女の行動はエスカレートしていった。ある日、彼女が車のエンジンを開けて、ドライバー片手に何かをいじっているのを見た時は、さすがに驚いた。「本棚を作るくらいならともかく、車まで自分で直すなんて、凄いな」と感心すらしていた。

そんなある日の夜、俺がバイト帰りに家の近くまで来た時、急に「ガタン!」という大きな音が聞こえた。驚いて音のする方に駆け寄ると、隣の家の玄関の扉が完全に外れていた。そして、その場には例のおばさんが、ドライバーを片手に立っていた。

おばさんは一瞬こちらを見たが、すぐに背を向けて逃げるように去っていった。

「え、どういうこと?」

しばらく呆然としながら、玄関の壊れた家を見つめていた。何が起きたのか、頭が追いつかないままだったが、ふと気づいた。

今までおばさんが「作っている」と思っていたもの――本棚も、車も、どれも実は「作っていた」わけではなく、ただネジを外していただけだったんだ。

家のドアや家具、車まで、彼女はモノを作っているのではなく、ひたすら分解していた。そして、そのターゲットが隣の家の玄関まで進行していたらしい。