忘れられた手紙の返事
昔の話。ある小さな村に、信という男が住んでいた。彼は貧しいながらも誠実に働き、近所の人々からも信頼されていた。そんな信のもとに、ある日、一通の手紙が届いた。差出人は不明だったが、内容は「どうして返事をくれないのですか?」という簡単なものだった。
「返事?」と信は首をかしげた。心当たりはない。だが、誰かが間違って手紙を送ってきたのだろうと思い、特に気にせずその手紙を放置した。
それから数日後、再び同じ手紙が届いた。「なぜ返事をくれないのですか?」と、まったく同じ内容だった。気味が悪くなった信は、今度は手紙をすぐに焼き捨てることにした。どこから来ているのかわからない手紙に関わるのは良くないと感じたのだ。
それから数ヶ月が経ち、信は手紙のことなどすっかり忘れていた。日々の生活に追われ、いつものように仕事に励んでいた。ある日、ふとした拍子に古い引き出しを開けた時、彼は一通の手紙を見つけた。それは、以前に焼き捨てたはずの手紙だった。
「どうして返事をくれないのですか?」
驚きと共に、彼は手紙をじっと見つめた。焼き捨てたはずの手紙がどうしてまたここにあるのか。さらに手紙を見つめるうちに、信はあることを思い出した。
数年前、信は若い頃、ある女性から手紙をもらったことがあった。彼女は彼の幼馴染で、信は約束の返事を出すことを忘れたまま、彼女のことを忘れてしまっていた。彼女はその後、村を出て行き、音信不通となったと聞いていたが、彼女からの手紙に返事をしないまま、長い時が過ぎてしまっていたのだ。
その夜、信は寝ている間に夢を見た。夢の中で彼女が現れ、再び問いかけてきた。
「どうして返事をくれないのですか?」
彼女は何度もその言葉を繰り返し、信の手を取った瞬間、彼は冷たい感触に驚いて目を覚ました。しかし、目を開けると、その手はまだ彼の手にしっかりと握られていた。
















