洞穴の兵士たち
戦時中に造られたとされる、ある山中の洞穴の噂を聞いたのは、数年前のことだ。その洞穴は、日本兵が最後の抵抗を試みるために隠れた場所として知られていた。敗戦が濃厚になると、兵士たちはその場所で身を潜め、最後には玉砕したという。
その洞穴を探検しようという話になったのは、俺たちの間では単なる肝試しの一環だった。興味本位で、友人3人と一緒に山中の洞穴を目指した。地元の古老たちは「行くな」と忠告してきたが、俺たちは笑って聞き流した。
洞穴にたどり着くと、そこはまさに時が止まったかのような場所だった。戦時中の名残を感じさせるような古びた装備や、錆びついた武器が散らばっていた。俺たちは懐中電灯を手に、洞穴の奥へと進んでいった。
「ここが本当に日本兵が隠れていた場所なのか…」と友人の一人がつぶやいた。
奥に進むにつれて、何か不気味な気配が漂っていることに気づいた。周囲の音が消え、ただ重苦しい空気が洞穴内に満ちていた。さらに進んだところで、俺たちは異様な光景を目にした。壁に彫られた文字だ。
「我々はここで生き延びた」
「生き延びた?でも、日本兵は全滅したはずだろ?」と誰かが言った。
その時、洞穴の奥から足音が聞こえてきた。振り返ると、そこには当時の日本兵の姿をした影が、ゆっくりとこちらに向かってきていた。俺たちは一瞬凍りついたが、誰かが「逃げろ!」と叫び、全員一斉に洞穴を飛び出した。
必死に山を駆け下り、息を切らしながら街に戻った。俺たちは無言のまま、何も語らずにそれぞれ家に帰った。あの洞穴に何があったのか、追いかけてきたものが何だったのかはわからない。
しかし、その夜、寝床に入った俺は、ふと気づいた。洞穴に入ったのは4人だったはずなのに、帰ってきたのは3人だけだ。
俺は誰がいなくなったのか、どうしても思い出せないままだ。
















