奇妙な贈り物の末路|渡されたお守りが導いた結末
俺がそのお守りをもらったのは、大学の先輩からだった。先輩は幽霊やお化けの話が大好きで、肝試しや心霊スポット巡りが趣味だった。ある日、その先輩がやけに真剣な顔をして俺に話しかけてきた。
「タクヤ、お前、最近運が悪いとか感じたことないか?」
確かに最近は嫌なことが続いていた。小さな事故、寝坊、忘れ物。些細なことだが、それが積み重なって精神的に参っていたのは事実だ。俺が頷くと、先輩は鞄から小さな布製のお守りを取り出して俺に渡してきた。
「これ、すごく効くって言われてるんだ。俺も昔もらったとき、めっちゃ助けられた。絶対肌身離さず持っておけよ。」
赤い布で包まれたそのお守りは、一見普通に見えた。ただ、布の中からカタカタと小さな音がするのが気になった。
最初の数日は何事もなかった。むしろ、いつもより調子が良かった気がする。忘れ物はしなくなり、仕事でも上司に褒められ、日々の運気が上がっているように感じた。
「やっぱり先輩が言ってた通りだな。」そう思ってお守りを大事に持ち歩いていた。
だが、それが変わったのはある夜のことだった。寝ていると、どこからか小さな音が聞こえてきた。チリ…チリ…と何かが布を擦るような音だ。最初は風の音だろうと思ったが、だんだんその音が近づいてくるのが分かった。
次第に音は鮮明になり、耳元で囁くような声が聞こえた。
「…タスケテ…」
飛び起きて部屋を見渡したが、誰もいない。ただ、お守りが枕元に転がっていた。俺はゾッとしながらも、お守りを机の引き出しにしまい込んだ。
次の日から、奇妙な出来事が頻発するようになった。職場では同僚が急に体調を崩し、電車では見知らぬ老人が「お前、呪われている」と声をかけてきた。そして、夜になるとまたあの音が聞こえてくる。
「…タスケテ…タスケテ…」
もう耐えられなくなり、先輩に相談しようと連絡を取った。しかし、先輩は電話に出なかった。仕方なく先輩のアパートを訪ねると、隣人が出てきてこう言った。
「先輩さんなら、先週急に引っ越しましたよ。何かトラブルでもあったみたいで。」
仕方なく自分でお守りを調べることにした。布を慎重に開けると、中から現れたのは細かく砕かれた骨のようなものと、黒ずんだ紙切れだった。紙には奇妙な文字がびっしりと書かれており、それを見た瞬間、吐き気が込み上げてきた。
その夜、俺の部屋にはっきりと何かが現れた。暗闇の中、布団の足元に立つ影。それは人間の形をしていたが、異様に歪んでいた。顔はなく、ただ音だけが響く。
「…タスケテ…オマエガ…」
全身が硬直し、動けないままその影が近づいてきた。息が詰まりそうなほどの恐怖の中、影はお守りを指差した。
翌日、俺はお守りを持って寺に向かった。住職に見せると、彼は一目見るなり険しい顔になった。
「これはいけないものだ。早急に処分しなければ。」
住職の助けでお守りを燃やしてもらい、その灰を山奥の川に流した。その間、俺は祈るような気持ちで見守った。
それから奇妙な現象はピタリと止んだ。しかし、先輩の姿は二度と見つからなかった。あのお守りが何だったのか、誰が作ったのかも分からないままだ。
ただ、一つだけ確かなことがある。
「助けて」と訴えたあの声は、俺に何かを伝えようとしていたのかもしれない。
それが何だったのかを知る勇気は、今も持てないままだ。
















