続いていく厄災【その3】
アキラは祖父の日記を胸に、カズキと共にもう一度湖へ向かう決意を固めていた。二人は村の厄災を終わらせるため、今度は最後の覚悟を持ってその場所に向かう。村人たちは見送るでもなく、ただ冷たい視線で二人を見つめていた。まるで彼らが戻らないことを知っているかのように。
夜更け、湖に到着した二人は、古びた神社へと続く道をゆっくりと進んでいった。月明かりに照らされる神社の廃墟には、昼間には感じられない異様な気配が漂っていた。空気は冷たく湿っており、息をするたびに胸が重くなる。
アキラ「俺たちがやらなきゃ、もう誰も助からない…行こう、カズキ。」
カズキは無言で頷き、二人は神社の奥へと進んでいった。本殿の奥には、再びあの石碑が立っていた。その前に立つと、アキラは胸の中に不安と同時に奇妙な使命感が湧き上がるのを感じた。祖父の言葉が頭を巡り、彼を後押ししているようだった。
突然、湖から黒い影が沸き上がってきた。それは人間とも獣ともつかない異形の存在で、無数の手足が絡み合い、嘆きの声が響いていた。影は石碑を囲むように動き出し、まるで何かを守っているように見えた。
アキラ「こいつが…厄災の正体か…」
カズキ「どうするんだ、アキラ!?俺たちに何ができるってんだよ!」
アキラは石碑に手を触れると、不思議な感覚に襲われた。そこには祖父や先祖たちの記憶が凝縮されていた。そして一つの映像が頭に浮かんだ。村を守るために命をかけた先祖たちが、厄災を封じ込めるためにこの湖の主と契約を交わしたのだ。
その契約を破らない限り、村は守られる。だが代償として、代々の家系がこの記憶を引き継ぎ、いつか封印が解けたときに再び厄災と対峙しなければならなかったのだ。
アキラ「俺たちが…封印を修復しなきゃならないんだ…」
二人は湖に向かって立ち、決意を固めた。アキラは石碑に再び手を当て、祖先たちが行ったとされる儀式を再現することを試みた。彼は心の中で静かに祈り、封印を再び強化するためにその場に立ち続けた。カズキも彼の隣で、震える手で祈りを捧げる。
しばらくすると、黒い影がゆっくりと湖へ戻り始め、異様な気配が次第に薄れていくのを感じた。影が湖に沈むと同時に、石碑が淡い光を放ち始めた。アキラとカズキは息を切らしながらも、無事に儀式が終わったことを確信した。
二人が村に戻ると、村人たちが家の前で迎えていた。誰もが何も言わなかったが、彼らの表情には安堵が浮かんでいた。厄災は去り、村は再び平穏を取り戻したのだ。
だがその夜、アキラは再び夢を見た。夢の中で彼は、湖の底にいる自分自身と向き合っていた。その姿はすでに彼のものではなく、祖父の姿であった。
「お前が役目を果たした。その使命は次の世代へと引き継がれるだろう。」
アキラはその言葉に一抹の不安を覚えながらも、安堵して目を覚ました。村の平和が続くことを願いながら、彼は自らの家系が負っている重い宿命に思いを馳せたのだった。
















