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初期インターネットのバグ

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インターネット黎明期。まだインターネットというものが新しく、多くの人にとって未開の地だった時代。個人ホームページが流行り、掲示板やチャットルームが少しずつ賑わい始め、メールが「手紙の代わりになる」という新鮮さで人々の生活に入り込んでいた。ある日、当時まだ高校生だった「ヤス」という少年が、自宅のパソコンで奇妙な体験をする。

1990年代半ばのことだ。ヤスは家でよくインターネットを使っていたが、まだ親の目も厳しく、夜中にこっそりネットを楽しむのが趣味だった。その日も、夜中にそっと部屋のドアを閉めて、古びたデスクトップPCを起動させ、ダイヤルアップ音が静かな家中に響く。時間は午前1時過ぎ。普段はチャットで誰かと話したり、新しいウェブサイトを見つけてはその新鮮さに興奮していたが、その夜、ヤスは何か違和感を感じた。

彼のチャット友達から「裏技を見つけた」とメッセージが来たのだ。

友人:「ヤス、知ってるか?最近、特定のURLにアクセスするとめちゃくちゃ奇妙なページに飛ばされるバグがあるんだって」

ヤスは興味津々で、「何それ、見たい!」と返信。友人は「自己責任でな」とだけ言い、URLを送ってきた。URLの文字列はまるで意味がわからない。半角と全角の数字やアルファベットが混ざり、ところどころ謎の記号が挟まっている。ヤスはクリックを躊躇ったが、好奇心には勝てなかった。

画面が暗転し、少しして見覚えのないホームページが表示された。そのサイトは、真っ黒な背景に、真ん中に小さな白い点がちらついているだけだった。何かのロード画面だろうかと、しばらく待っていると、点が徐々に大きくなり、視界いっぱいに広がった。そして突然、ぼそぼそと低い音が聞こえ始めた。音声ファイルが勝手に再生されたようだった。

音声:「…よく来たね…探していたんだよ…」

驚いて音量を下げようとしたが、どのボタンも効かない。パソコンの音量も、ブラウザも、すべてが操作不能に。音声は続けざまに流れ、どうやら彼に何かを伝えたいようだった。

音声:「…この先へ進むと戻れない…後悔しないか?」

それを聞いて初めて背筋が凍る。急に怖くなり、電源ボタンを押して強制終了しようとしたが、画面は真っ暗なまま、PCが固まってしまっている。再起動すら効かず、途方に暮れていると、突然画面にメッセージが現れた。

「進むなら"YES"、やめるなら"NO"」

その問いに、ヤスは手が震えながらも「NO」とタイプしてENTERを押した。だが、画面は何も変わらない。また同じメッセージが表示される。

「進むなら"YES"、やめるなら"NO"」

混乱し、焦り、再び「NO」を打つが、反応は同じ。「YES」も試してみたが、また同じメッセージが繰り返されるだけだ。画面の向こうから誰かがこちらを覗いているような視線を感じて、ヤスは怖くなり、思わずPCから距離を取った。

それから数日後、ヤスのPCは完全に壊れ、動かなくなった。修理に出すと、店員が驚いた顔で「おかしいですね…まるで誰かが内部から破壊したようです」と言う。仕方なくヤスはPCを買い替え、その奇妙な体験を忘れようとした。

だが、数か月後、ヤスの友人が学校に来なくなった。心配になって彼の家を訪ねると、友人の母親がヤスに話してくれた。

友人の母:「あの子、PCの画面にずっと向かって話しかけてたのよ。何度も“YES”とか“NO”とか言ってね…。最初はふざけてるのかと思ってたんだけど、夜になると急に怯え出して…もう手がつけられなくなって」

その後、友人は精神的に不安定になり、入院することになったという。しかも、その友人がヤスに最初に送ってきたメッセージを最後に、誰とも連絡が取れなくなった。

それから数年、ヤスはインターネットであの奇妙なサイトについて調べるが、何も出てこない。それどころか、あのURL自体も存在しなかったかのように消えていた。ただ一つだけわかったのは、同じような症状で入院している人が何人もいるという噂があったことだ。

都市伝説の調査サイト:
「1990年代、ネット上には奇妙なバグ技が存在していたとされる。特定のURLを経由して表示される謎のサイトでは、何かを選択するよう迫られ、そこから戻れなくなるケースがあるという。この現象は一部で『ループサイト』と呼ばれ、都市伝説化している。ある報告によれば、一度アクセスするとサイトからのメッセージが消えず、最終的にはPCの故障やユーザーの精神異常を引き起こすとされる。」

ヤスはこれを見て、背筋が凍りついた。思わず自分の経験を書き込もうとしたが、何かが彼を止めた。あの日のあの声が蘇ったような気がして、彼はPCの電源を切った。

結局、ヤスの友人はどうなったのか、あのサイトは一体何だったのかは、今でも謎のままだ。都市伝説として語られることも少なくなり、インターネットの深層に埋もれてしまったこの話は、ネットをよく知る者たちの間でだけ、今でも密かに囁かれている。