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秘密の酒蔵

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「君、あの山奥の酒蔵のこと、知ってる?」
ある夜、友人が不意にそんな話を振ってきた。場所はとある地方の山間部。地元では割と有名な話だそうだが、都会育ちの俺には聞いたこともない話だった。

その酒蔵は、一般的な日本酒の酒蔵として有名だったが、ある時期から「謎の液体」を製造しているという噂が立つようになった。その液体は店頭で買えるわけではなく、見たことのある人も少ない。でも、インターネットで口コミが広がり、どこからともなくその存在が知られるようになったのだ。

そんな謎の液体を製造する酒蔵だが、なぜかここ数年、外国人旅行者がこぞって訪れる場所になっているという。ガイドブックや地元の観光パンフレットにも載っていないのに、なぜか口コミで人気になっているのだ。特に、フランスやイタリアといったヨーロッパ圏の人が多く訪れるらしい。さらに奇妙なことに、彼らは何かを瓶に詰めて持ち帰っているそうだが、詳しい中身については何も教えてくれないそうだ。

酒蔵の周辺には警備員が配置され、写真撮影も一切禁止だ。どうやら「特殊な製法の秘密を守るため」らしいが、誰も詳しいことを説明してくれるわけではない。興味が尽きない俺と友人は、その夜のうちに計画を立て、翌朝早くからその酒蔵を訪れることに決めた。

次の日、車で山道を進み、昼前にはその酒蔵の前に到着した。木造の建物は古びていて、どこか冷たい空気をまとっている。普通の酒蔵ならば、観光客用の案内板や看板が立っているものだが、ここにはそれらしきものが一切ない。おまけに敷地内には一歩も踏み込むなと言わんばかりに、無数の「立ち入り禁止」の看板が並んでいる。

少し離れた場所で観察していると、現地の人らしき老人が通りがかり、声をかけてきた。

老人:「何してるんだい、あんたたち?」

俺:「あ、ええと、観光です。ここって、外国人にすごく人気だって聞いたんですけど…」

老人は少し考え込んだあと、妙に不気味な笑みを浮かべた。

老人:「あんたら、何も知らないで来たんだろう?この酒蔵が何してるかってことを。」

俺たちは興味津々で老人の話を聞くことにした。話によると、この酒蔵は「とある液体」を製造していて、それが外国人たちに評判を呼んでいるのだが、その中身については何も公にされていないという。

老人:「その液体ってのはな、昔から地元で伝わる『生の人間の魂』を凝縮したものだと噂されてる。」

俺たちはゾッとしたが、そんな馬鹿な話があるわけないと思いつつ、話を続ける。

老人:「この辺りで不気味な事件が相次ぐのも、その酒蔵のせいだって話だ。失踪者や行方不明者も何人かいる。きっと彼らの魂を使って液体を作っているんだろうよ。」

老人の話に背筋が寒くなりつつも、俺たちはどうしても中に入りたくなった。酒蔵が閉まった深夜に忍び込み、中で何が作られているかを確かめる計画を立てた。

深夜2時、酒蔵の裏手からこっそりと侵入した俺たちは、驚くべき光景を目にすることになる。広い倉庫の中には、大きなガラス瓶がいくつも並べられていた。何かの液体が入っているが、その液体は薄い青色をしており、光を当てると微妙に揺らめいている。

そして、その液体の中には…人の手の形や顔らしき影が浮かび上がるように見えた。

友人:「これ…本当に人の魂なのか…?」

まさかとは思いつつも、その場にいると恐怖心がじわじわと押し寄せてきて、動けなくなりそうだった。

さらに奥へ進むと、急に警備員が現れ、俺たちを威圧的な目で見てきた。警備員は無言で俺たちの前に立ちふさがり、どこか軍隊のような冷徹さを感じさせる。

警備員:「ここは一般人が立ち入る場所ではない。即刻退去しろ。」

俺たちは慌ててその場を後にした。が、どうしてもあの液体の正体が気になり、翌日、地元の役場で調べることにした。

役場の職員は、俺たちの質問に困惑した様子を見せたが、しぶしぶ話をしてくれた。

職員:「あの酒蔵は政府の秘密研究施設としても使われているらしいですね…私も詳しいことはわかりませんが、警察や国の関係者が頻繁に出入りしているのを見たことがあります。」

さらに驚いたことに、その酒蔵は通常の観光地ではなく「指定保安施設」に登録されていることがわかった。一般の観光客が立ち入れないような場所なのに、なぜか外国人旅行者だけは特別に許可されているという。

役場を出たあと、再びあの老人に出くわした。老人は俺たちを見て、まるで何かを悟ったかのようにこう告げた。

老人:「あんたら、もう二度とあそこには近寄らない方がいい。この町には…いや、この国には、知ってはならないことがあるんだよ。」

俺たちは無言でうなずき、その場を立ち去った。それ以来、あの酒蔵には一度も近づいていない。