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洒落にならない怖い話「笑い鬼人」

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あれは今でも鮮明に覚えている。俺の友人、ケイジが持ってきた奇妙な人形が、すべての始まりだった。

ケイジは古物商巡りが趣味で、休日にはよく廃墟や骨董屋を巡っていた。そんな彼が、ある日一つの古い人形を手に入れた。細工は古風で、その顔は真っ白な陶器でできており、まるで無表情な能面のようだった。だが一番異様なのはその首だった。首が異様に長く、1メートル近くあったんだ。

「これ、すごくね?」とケイジは誇らしげに俺たちに見せてきたが、俺たちは言葉を失った。首の長さだけじゃない。顔には穴のような目と口があり、真っ黒な空洞がポッカリと開いていた。その姿に何とも言えない不安感を覚えた。

「お前、それマジで気持ち悪いな…」俺は笑いながら言ったが、内心はぞっとしていた。

ケイジはその人形を「笑い鬼人形」と呼んでいた。胴体には不自然な文字が彫られていて、「天保三年」という年号と、「笑鬼」という名が刻まれていた。ケイジは面白半分にその人形を家に飾っていた。

その日、ケイジはうちに遊びに来る予定だった。だが、時間になっても来ない。電話をしても出ないので、心配になった俺は彼の家に向かった。ドアをノックしても反応がないが、家の中から低く抑揚のない「ホホホホ…ホホホホ…」という笑い声が聞こえてきた。

「ケイジ?お前か?」そう叫んで、ドアを開けると、リビングの中央でケイジがいた。だが、その姿に俺は息を呑んだ。ケイジは無表情のまま、ゲラゲラと笑い続けていたのだ。彼の目からは大粒の涙がボロボロとこぼれ落ちていた。

「おい、どうしたんだよ!」俺は彼に駆け寄ったが、ケイジは何も答えない。ただ無表情のまま、笑い続けている。しかも、その笑い声はどう聞いても彼自身の声ではなく、あの「ホホホホ」という抑揚のない機械的な音が混じっていた。

恐る恐る部屋の奥を見ると、そこには例の「笑い鬼人形」が座っていた。まるでケイジを見つめているかのように。その瞬間、全身が凍りついた。俺は直感的にこの人形が原因だと悟った。

その後、ケイジは急に笑うのをやめたが、表情は元に戻らないままだった。俺は彼をベッドに寝かせ、何とか安静にしようとしたが、彼はただ無表情で遠くを見つめていた。

次の日、ケイジの状態は変わらなかった。彼の両親も病院に連れて行ったが、医者は原因不明と言うばかりだった。俺はその「笑い鬼人形」を破壊するしかないと感じ、近くのお寺に持ち込んだ。だが、そのお坊さんは人形を見た瞬間、顔色を変えた。

「これは呪物だ。おそらく古い時代に作られた人形で、怨念が宿っている…」

お坊さんは「笑い鬼人形」の背面を指差し、そこにはさらに奇妙な文字が彫られていた。「笑う者、魂を奪われる」という意味らしい。

「この人形を壊さなければ、取り憑かれた者は…永遠に笑い続けることになる。」

俺はすぐにでも壊してほしいと頼んだ。お坊さんは慎重に準備をし、その場で儀式を行った。儀式の最中、人形が突然「ホホホホ…」と笑い出した。だが、お坊さんは怯むことなく、木槌で人形を叩き割った。

その瞬間、周囲の空気が変わった。重苦しい雰囲気が消え、部屋に静寂が戻ったのだ。俺はケイジの元に急いで戻った。

ケイジはようやく無表情のまま笑うのをやめた。そして、少しずつ意識を取り戻し始めたが、彼はこの出来事を一切覚えていないと言う。まるで記憶が消し去られたかのように。

その後、ケイジはしばらくの間、精神的な治療を受けていたが、次第に元の生活に戻った。しかし、あの出来事以来、彼は二度と古物商巡りをしなくなった。俺もあの「笑い鬼人形」のことは、二度と思い出したくない。

だが、ひとつだけ心に引っかかることがある。お坊さんが言っていたんだ。「笑い鬼人形」はひとつだけではない、と。他の場所にも、同じような人形が存在するかもしれない、と。

今でも時々、静かな夜に「ホホホホ…」という抑揚のない機械的な笑い声が、風に乗って聞こえてくる気がしてならない。