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山奥の治験バイト

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俺と友達のケンジは、大学の長期休みを使って、短期の派遣バイトを渡り歩いては、その金で旅行に出かける、そんなだらけた生活を送っていた。イベントの設営だとか、スマホ工場の基盤組み立てとか、まぁいろんな仕事を経験した。どれもつまんないけど、短期だからすぐ終わるし、日給が1万5000円くらいだから、悪くなかった。

ところが、その日いつものように派遣先からメールが届いた。

ケンジ「おい、カズキ!見ろよこれ。日給10万だってよ。ヤバくね?」

「10万!?なんのバイトだよ?」

ケンジ「治験。ちょっと怖くね?」

「治験かよ…。でも10万だろ?やるしかなくね?」

正直、治験はちょっと怖かったけど、10万もらえるとなったら話は別だ。そんなに危ない薬じゃないだろうし、黙ってサインして薬を飲むだけだろ。俺たちは即決で応募した。

バイト当日、俺とケンジは山奥の施設に到着した。辺りは静まり返っていて、人っ子一人見当たらない。建物は綺麗なんだけど、なんか嫌な感じが漂ってた。到着すると、案内の人が来て、俺たちに誓約書を渡してきた。

案内人「こちらにサインをお願いします。内容は読んでいただいてもいいですけど、特に問題はないです。簡単な薬を飲んで、ベッドで静養していただくだけですから。」

ケンジ「あーはいはい、わかった。」

俺たちは途中で誓約書の内容なんか読むのが面倒くさくなって、ざっと目を通して適当にサインした。それよりも10万で何を買おうか、頭の中はそっちでいっぱいだった。

案内人から説明を受け、薬を渡されて、それを飲んだ。飲んだ後は、ベッドでじっとしているだけでいいらしい。トイレは廊下にあって自由に使えるけど、「廊下の奥の扉は絶対に開けないでください」と口酸っぱく言われた。

ケンジ「おいおい、なんだよこの施設。絶対に開けるなってさ、フラグ立ってんじゃんかよ。」

「開けちゃダメだろ、絶対やべーこと起こるって。」

薬を飲んでも特に体調は変わらず、俺もケンジも余裕だった。むしろ楽勝だった。

「マジで、10万もらえてこんなに簡単な仕事って最高じゃね?」

ケンジ「だよな、帰ったら何買おうかなー。」

そんな感じで、俺たちは二日目の夜を迎えた。とにかく暇だった。施設内は無駄に広いし、ネットも繋がらないし、退屈すぎて死にそうだった。

その夜、突然うめき声が聞こえてきた。

ケンジ「おい、なんか聞こえないか?」

「うめき声…?」

ケンジかと思ったが、違う。声は廊下の奥、あの開けるなと言われた扉の向こうからだ。

「まさか、あの扉の向こうか…?」

ケンジ「おい、開けてみようぜ。気になって仕方ねえだろ?」

俺は正直、嫌な予感がしていたが、ケンジが言い出したら止まらない。

「マジかよ…。大丈夫かな…。」

ケンジがゆっくりと扉を開けると、そこには想像を絶する光景が広がっていた。まるで映画の『バイオハザード』やアニメの『ハガレン』の人体実験施設みたいだった。

巨大なガラスの試験管が並び、その中には何も入っていないものがほとんどだったが、一番奥にだけ何かが入っていた。人の形をした何か。しかし、背中には翼のようなものが生え始め、尻尾のようなものまで見えた。顔は人間とは言えず、肌はふやけて、今にも破裂しそうなほど膨れ上がっていた。

ケンジ「やべぇ…なんだこれ…。」

その瞬間、試験管の中の“それ”が叫び出した。

謎の声「ウオオオオオ!!タスケテ…タスケテ…。」

俺たちはパニックに陥った。

「おい、ヤバい!逃げるぞ!」

ケンジ「待って、どうやって…!?」

俺たちは急いで廊下を駆け抜け、窓から外に飛び出した。はだしのまま、山奥の道を全力で走り抜けた。どれくらい走ったのか、どうやって町まで戻ったのかも覚えていない。ただ必死で逃げた。

数日後、まだ家に帰れていない俺のスマホに親から連絡があった。

「●●●研究所の方が来て、あんたを探してるって言ってるよ。なんかまた悪いことしたんじゃないの?」

俺はその一言で全身が凍りついた。

「…やばい、まだ追ってきてるのかよ。」

家には帰れない。しばらく隠れるしかない。俺たちは完全に、何かに巻き込まれてしまったのだ…。