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膨らんで大きくなる犬

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昔、とある山間の村があった。その村では、どの家も犬を飼っているのが普通だった。一匹の家もあれば、多数の犬を飼っている家もあった。村の人々は昔から犬を番犬として大切にしており、犬たちは村の生活に欠かせない存在だった。しかし、どんなに愛されている村でも、すべての家が犬を大切にしていたわけではない。

村の外れに住む一家は、他の家とは少し違っていた。その家も犬を飼っていたが、犬にはほとんど餌をやらず、可愛がることもなく、ただそこにいるだけの存在として扱っていた。犬はひどく痩せ、毛並みも乱れていて、見るからに粗末な暮らしをしているのがわかる。村人たちは心配したが、特に口出しすることもなく、その家の犬を気に留めることは少なかった。

ところが、ある日からその家の犬が奇妙な変化を見せ始めた。やけに静かになり、動くことも少なくなった。それだけではなく、日に日に犬の体が太り始め、異様に大きくなっていったのだ。痩せていたはずの犬が、まるで風船のように膨れ上がる。その変わりようは、村人たちも遠目に気づくほどだった。

「あの家の犬、どうしちゃったんだ?病気か?」

誰もが不思議に思った。何よりその犬は、太るにつれて動きが鈍くなり、餌もほとんど食べなくなった。それでも、太っていく。村の子供たちは興味本位でその犬を遠巻きに見に行ったが、犬はただぼんやりとした目で周囲を見回すだけで、一切吠えることもなかった。

村の長老がその犬の様子を知ると、顔をしかめて言った。「あの犬、ただ太ってるだけじゃないかもしれんぞ。何か、良くないことが起きる気がする。」

それからしばらくして、村中に異変が起こり始めた。犬が飼われていた家の周りで、夜な夜な奇妙な音が聞こえるようになったのだ。カンカンと響く鈍い音。それはまるで何かが膨張して、今にも破裂しそうな音だったという。

ある晩、その家の近くでとんでもない音が響き渡った。ドーンという轟音とともに、地面が揺れ、村中が恐怖に包まれた。音の発生源は、例の太った犬がいる家だった。慌てて駆けつけた村人たちが見た光景は、まさに信じがたいものだった。

犬が、爆発していたのだ。

その家の庭には、犬だったものの破片が飛び散り、家の壁や木々にも血と肉片がこびりついていた。体が異様に大きくなっていた犬は、内側から何かに圧迫され、最終的に破裂したのだ。村人たちは恐れおののき、その家を遠巻きに眺めるしかなかった。犬が爆発するなど、誰も想像したことがなかった。

「これはただの事故じゃない。あの家の人たちが犬を粗末にした罰だ。」

村人たちは口々に噂した。それ以来、その家には誰も近寄らなくなった。村人たちは犬を大切にするよう心がけ、それ以降、同じような事件は二度と起こらなかったが、爆発した犬の話は村の怪談として長く語り継がれることとなった。