消えた山道
大学の夏休みに、俺と友人のタカシは二人で登山に行くことにした。人気のない、静かな山だった。山頂に着くと、見渡す限りの絶景が広がっていて、空気も澄んでいる。これぞ自然の醍醐味だと、俺たちは満足していた。
日も暮れかけてきたので、そろそろ下山することにした。途中までは順調だったが、ある場所に差し掛かった時、タカシが立ち止まった。「ちょっと、こっちの道行ってみようぜ。地図にはないけど、近道かもしれない」と言い出した。
俺は少し不安になったが、タカシに押し切られる形でその道を進むことにした。道はどんどん狭くなり、木々が生い茂り、足元も見えにくくなってきた。「やっぱり引き返そう」と俺が言い出すと、突然タカシが姿を消してしまった。
「タカシ?」と呼んでも返事がない。驚いて辺りを探すが、霧が立ち込めていて視界が悪い。焦った俺は、何度もタカシの名前を叫んだが、応答はなかった。おかしい…さっきまで一緒にいたのに、まるで消えたようだった。
仕方なく、俺は自分一人で戻ることにした。来た道を戻ろうとするが、歩いても歩いても見覚えのある場所にたどり着かない。それどころか、道そのものが消えているように感じた。
辺りはすでに真っ暗になっていた。スマホの電波も届かず、助けを呼ぶこともできない。さらに焦って歩き続けていると、前方に何かが見えた。…タカシだ。
「タカシ!」と叫んで駆け寄るが、彼は木の陰に隠れてしまったように見えた。俺はそのまま彼を追いかけた。しかし、追いつくたびにタカシはまた少し先へと歩き出し、追いかけることができない。
「なんで逃げるんだよ!」と叫んだ瞬間、後ろから「…おい」と声が聞こえた。振り返ると、そこにはタカシがいた。
「何してんだよ、迷子か?」タカシは普通にそこに立っていた。俺は全身が凍りついた。じゃあ、今まで追いかけていたのは…?
















