声をかけてくる人々

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会社の同僚と出張のために車を走らせていたときのこと。深夜で車の往来も少なく、自然とスピードを上げて山間部の道を進んでいた。後部座席で同僚の杉山がウトウトしているのを横目に、眠気覚ましに音楽をかけたり、窓を開けて冷たい風を感じたりしていた。ふと道を歩く人影が視界に入ったが、こんな夜中に歩いているのが妙だと思いながらも、そのまま通り過ぎた。

しばらくすると、もう一人道端に立っている男性が手を振っているのが見えた。「こんな時間に道端でなんだろうな?」と、少し不思議に思いながらも気にせず通り過ぎようとしたが、その男が急に近づいてきて「車の上…」と叫んでいるのが見えた。何のことかわからなかったが、車の天井に何かがあると言われた気がして、少し嫌な予感がした。

スピードを落とし、道端に車を停めて確認しようとしたが、やはり何も見当たらなかった。すると、横で寝ていた杉山が突然目を覚まし、「なんか声が聞こえた…?」とボソッと言う。さっきの男性のことを話すと、「そんなことある?」と苦笑してくれたので、冗談交じりに「きっと幽霊だよ」と話して再び車を発進させた。

それから数分も経たないうちに、今度は道端の女性がこちらに手を振っているのが見えた。無視しようと思ったが、窓越しに女性が「上に人がいる」と叫んでいる声がはっきり聞こえた。さすがに不気味に思い、もう一度停車して確認したが、やはり車の上には何もいない。少しイライラし始めて、「さっきから冗談がきついな」とつぶやくと、杉山も「もう面倒だし、このまま走り続けよう」と賛成してくれた。

夜も深まってくる中で何もない山道を黙々と進んでいると、突然、リアウィンドウからドンッと音がした気がして、思わずブレーキを踏んだ。「なんだ?!」と叫び、急いで車を降りてリアウィンドウを確認したが、やはり何もない。杉山も車から降り、「もう気にしすぎだって」と笑いながらも、どこか顔色が悪い。結局、車に戻り、今度こそ気にせず進むことにした。

だが、またしても道端に人影が見えた。今度は小さな老人がゆっくりとこちらを指差しているのが見えた。「もう勘弁してくれよ…」と小さくつぶやきながら、老人を通り過ぎる直前にチラッと横目で見た。老人は口を動かし、やはり「上に人がいる」と言っているようだった。その瞬間、杉山が叫び声を上げ、車がぐらついた。何かが車の屋根に降りかかるような衝撃がして、すぐに路肩に急停車した。

恐る恐る車を降りて屋根を見上げると、そこには黒い影がゆっくりとした動きで身をかがめ、まるでこちらを覗き込むようにしている。「おい、あれは…」と息が詰まる思いで杉山を呼ぶが、彼は呆然と立ち尽くしたまま動かない。影は一瞬、こちらに手を差し伸べるような動きを見せたが、次の瞬間には消えていた。

恐怖で動けなくなり、しばらくの間、その場に立ち尽くした後、恐る恐る再び車に乗り込んだ。「帰ろう…」と震える声で杉山に告げると、彼も無言でうなずき、車を再び走らせた。何もなかったかのように静寂が戻ってきたが、背中が冷たい汗でびっしょりと濡れていた。

その後、帰り道で立ち寄ったガソリンスタンドの店員が何気なく「車の屋根に何か乗ってるみたいでしたね」と言ってきた。