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馬頭様

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ある夏の夜、俺たちはいつものようにケンジの家で肝試しの話をしていた。その中で、山奥にある誰も近寄らない神社のことが話題になった。そこで祀られているのは「馬頭様」という名前の神様だが、その噂はどれも良いものではなかった。

ミツアキ「お前ら、あの神社知ってるか?」

俺「知ってるよ。山奥の神社だろ?でも、噂が怖くて行ったことはない。」

リョウ「馬頭様とか言われてる神様だよな?昔から祟りとかの話があるとか。」

ミツアキ「そうそう。俺、実は昨日の夜、その神社まで行ってきたんだよ。一人でな。で、そこで妙な体験をしたんだ。」

ミツアキの言葉にみんな興味津々だった。

ミツアキ「神社の前に立った瞬間、寒気がしてさ。足がすくんで動けなくなったんだ。誰かがずっと見てる感じがして、逃げたかったんだけど、体が動かなくて。そんで、奥に祠があったんだけど、そこから低いうなり声が聞こえてきてさ。で、急に誰かが俺の名前を呼んでるのが聞こえたんだよ。」

俺たちはその場でゾッとした。ミツアキは確かに神社の話をしているが、彼の顔色が悪くなっていくのが分かった。

ミツアキ「それでさ、祠に近づこうとしたら、頭が割れるように痛くなって、そのまま逃げた。だけど、帰ってからが本当に怖いんだ。俺、鏡見たら、自分の顔が…なんか、違うんだよ。」

俺「違うって、どういうことだよ?」

ミツアキ「目が赤くて、頬がなんか張ってる感じがするんだ。それで、次の日になるとさらにおかしくなって、顔が少しずつ長くなってる気がするんだよ。」

俺たちは笑いながらも、その話が冗談じゃないことに気づいていた。ミツアキは真剣だった。そして、それからしばらくして、ミツアキは学校を休むようになった。

最初はただの風邪だと思っていたが、どうも様子が違う。電話しても繋がらないし、家に行っても誰も出ない。心配になった俺たちは、ある日、ミツアキの家に直接行ってみた。すると、玄関の前にミツアキのお母さんがいた。

ミツアキの母「ごめんね、ミツアキはもう誰とも会いたくないの。ちょっと体調が悪くて…。」

俺「でも…なんかあったんですか?ミツアキ、ずっと連絡も取れないし。」

ミツアキの母は悲しそうな顔をして、ぽつりとこう言った。

ミツアキの母「馬頭様のことを聞いたことあるかしら?あの神社に近づいた人は、呪われるって。ミツアキもその呪いにかかってしまったみたいなの。お見舞いは…もういいわ。もう会わない方がいいの。」

それから数日が経ったある日、俺たちはミツアキのことをどうしても気になって、もう一度家に行ってみた。しかし、彼の家は静まり返っていて、彼の姿は見当たらなかった。

町では、ミツアキの家族が彼を病院に連れて行ったという噂が流れ始めていた。俺たちはどうにかして彼の安否を確認しようとしたが、彼の母親はそれ以降、誰とも話をすることはなかった。

その後、俺たちは町を出て、ミツアキの消息について聞くこともなくなった。しかし、時折あの神社の前を通るたびに、彼の顔が変形していく姿が頭に浮かんでくる。そして、彼の母親が言った「これ以上お見舞いは結構です」という言葉が、今でも耳に残っている。

一体、ミツアキはどうなってしまったのか。それは誰も知ることができないまま、今でもあの山奥の神社には誰も近づかない。